ブランディングは2つの目的に分けられる
ブランディングとは、企業そのものや製品、サービスが持つ価値や理念を明確にし、それを社内外に一貫して伝えることで、ブランドとしての存在感を確立し、信頼や共感を得るための活動です。これは単なるロゴや広告戦略にとどまらず、企業全体が一体となってブランド価値を体現し、成長や市場での影響力を高めるための包括的な取り組みといえます。
こうしたブランドの価値を体現し、影響力を高めるためには、2つの重要な目的を達成する必要があります。それが「理解浸透」と「認知拡大」です。
企業内でブランド価値や理念を共有する「理解浸透」
「理解浸透」は、企業内で社員全員がブランド価値や理念を共有し、それに基づいた行動を取れるようにすることを目指した取り組みです。社員一人ひとりがブランドを体現する存在となることで、日々の業務や顧客との接点を通じて自然とブランド価値が表現されるようになります。これにより、企業文化の強化や社員の意識統一が促され、外部からの信頼を高める基盤を築くことができます。
社外に向けた「認知拡大」
「認知拡大」は社外に向けた取り組みであり、顧客や取引先、社会全体に対してブランドの価値や独自性を効果的に伝え、認知度と信頼性を高めることを目指します。ブランドのストーリーや強みを発信し、競合との差別化を図ることで、知名度の向上だけでなく競争優位性を確立し、顧客とのエンゲージメントを深めることができます。
これらの活動を通じて、企業は市場での信頼獲得や競争力強化を実現し、持続的な成長を図ることができます。
インナーブランディング・アウターブランディングとは
インナーブランディングとは社内に向けたブランディング
社内に向けた「理解浸透」は、インナーブランディングと呼ばれます。
企業内で社員全員がブランド価値や理念を共有し、それに基づいた行動を取れるようにすることを目指した取り組みです。
アウターブランディングとは社外に向けたブランディング
認知拡大のような社外に向けた活動は、アウターブランディングと呼ばれます。
主に社外に自社ブランドや商品・サービスを発信し、一貫のある独自のイメージを持ってもらうことを目的としています。
アウターブランディングのターゲットとなるのは
アウターブランディングは、具体的には以下のような対象に向けて行います。
・顧客・消費者
企業の商品・サービスを購入する人々や利用者です。ブランドの価値や魅力を理解し、共感を得ることで、ファンやリピーターとなることを目指します。
・潜在顧客
現時点では商品・サービスを購入していないものの、将来的に顧客となる可能性がある人々のことです。ブランドの認知度を高め、関心を引くことで、新規顧客の獲得を図ります。
・取引先・パートナー企業
サプライヤーや流通業者、共同で事業を行うパートナー企業です。信頼関係を構築し、協力関係を強化するためにブランド価値をアピールします。
・投資家・株主
企業に資金を提供する投資家や株主です。ブランドの信頼性や成長性を伝えることで、投資意欲を高めます
・地域社会・一般市民
企業の活動エリアに住む人々や、広く社会全体に対する関心を持つ人々です。企業の社会的責任(CSR)活動やブランドの倫理性を示すことで、好意的なイメージを形成します。
・業界関係者・メディア
業界内で影響力を持つ人々や、ブランドに関する情報を発信するメディア関係者です。ブランドの価値や話題性を共有し、さらなる認知拡大を目指します。
・採用候補者
将来的に企業で働く可能性がある人材です。ブランドの魅力を伝えることで、採用活動での競争力を高めます。
アウターブランディングを強化することによる効果とは
認知度の向上
アウターブランディングによる広告やプロモーションを通じて、消費者や取引先にブランドを広め、市場での差別化を図ることができます。認知度の向上は、新規顧客獲得にもつながり、潜在顧客へのアプローチが増え、最終的に購入やサービス利用に結びつく可能性が高まります。
競争力の強化
アウターブランディングにより、競合との差別化が可能となり、市場での競争優位性が確立されます。ブランドが独自の価値を提供し、消費者に選ばれる理由を強調することで、市場での地位の強化につながります。また、市場でのリーダー的ポジションを確立し、信頼と支持を集められることもメリットです。
信頼性の向上
一貫性のあるブランドメッセージを発信することで、消費者からの信頼を得やすくなります。ブランドの価値を明確にし、一貫性を保つことで信頼性が高まり、市場での立場を確立できます。
顧客関係の強化
消費者との感情的なつながりを築き、リピーターを増加させることも可能です。強固なエンゲージメントにより、ブランドの価値が深まり、長期的な成長が促進されます。
アウターとインナーの分類が意識されるようになった背景
「ブランディング」という言葉は、もともと企業の外部に向けてブランドを構築し、消費者に認知される活動を指していました。しかし、インナーブランディングの重要性が認識されるにつれ、「アウター」と「インナー」の分類が意識されるようになりました。
企業のブランド戦略は主にマーケティングや広告部門が担ってきましたが、ブランドは企業全体に関わるものであり、従業員がブランド価値を理解し、それを実践することが外部メッセージにも影響を与えるという理解が広まり、インナーブランディングの重要性が増してきています。
インナーブランディングが行われていないと、以下のような事象が生じます。
ブランド価値を適切に発信できていない
現代の消費者は、企業の「商品」や「サービス」だけでなく、その企業が社会的責任や倫理的価値観をどう実践しているかに敏感です。企業の内部でブランド価値がしっかりと浸透していないと、外部に伝えるメッセージが浅薄に感じられ、かえってブランドの信頼性が損なわれかねません。そのため、アウターブランディングだけでは不十分であり、インナーブランディングが不可欠であると認識されるようになりました。
発信するメッセージに一貫性がない
競争が激化する現代の市場において、顧客や取引先との信頼関係を築くためには、企業内で一貫したブランドメッセージを確立・浸透させることが非常に重要です。インナーブランディングを通じて従業員全員がブランド価値を理解し、それを行動に移すことができれば、外部向けのアウターブランディングにも強力な効果をもたらします。このように、内部と外部のブランド価値が一体となることで、より強固な競争優位性が築かれることから、インナー・アウターの分類が必要とされるようになりました。
アウターブランディングを進めるための4ステップ
環境分析
アウターブランディングを始める前に、まずは市場や競合、消費者のニーズを分析することが重要です。競合他社の動向や業界のトレンドを把握し、自社の強みや弱みを明確にすることで、どのようなアプローチが効果的かを判断します。環境分析を行うことで、ブランド戦略が市場に適したものになります。
ブランド戦略の明確化
環境分析をもとに、企業のブランド戦略を明確にします。ブランドの価値や使命、ビジョンを定義し、企業が市場でどのような位置を占めたいのかを計画します。この戦略に基づいて、企業全体で一貫したメッセージを発信するための方向性が決まります。
ターゲットの設定
アウターブランディングのターゲットを明確に設定することが次のステップです。ターゲットとなる消費者層や市場を定め、それに合わせて適切なメッセージやプロモーション活動を行います。ターゲットを絞り込むことで、ブランドメッセージがより効果的に伝わり、リーチを最大化することができます。
ブランドメッセージの発信
ブランドメッセージをターゲットに向けて発信します。広告、SNS、イベント、PRなどさまざまなチャネルを活用して、ブランドの価値や独自性を伝えます。メッセージには一貫性を持たせ、消費者に強く印象づけることが重要です。
アウターブランディングで失敗しないためのポイント
メッセージの一貫性を保つ
アウターブランディングを成功させるためには、ブランドメッセージの一貫性を保つことが不可欠です。
メッセージがぶれてしまうと、消費者は混乱し、ブランドの信頼性を損なうことにつながります。そのため、広告、ウェブサイト、SNSなど、すべてのチャネルで統一されたメッセージを発信し、ブランドイメージを明確に伝えることが重要です。
ブランディング対象の露出機会を考慮する
ブランディング対象の露出機会も重要な要素です。
ユニフォームのように社員が着用するアイテムは、広報活動やウェブサイト、実際の接客など、さまざまな場面で頻繁に露出する機会があります。そのため、ユニフォームのデザインが企業に与える印象を大きく左右することを認識しておくことが重要です。
こうした露出機会の多い対象物でブランドメッセージを効果的に発信することが、アウターブランディングを成功させる上では重要なポイントとなります。
ユニフォームをブランディングすることの重要性とは
Webでのコミュニケーションの増加により、人目に触れる機会が増えている
従来、ユニフォームは対面での接触を通じてのみ人目に触れる存在でした。
しかし、Webでの発信機会が増えたことにより、ユニフォームは多くの人々に視覚的に届けられるようになりました。この変化により、ユニフォームが企業のブランドイメージを伝える役割は従来以上に拡大しています。
Webを通じて広がるユニフォームの視覚的インパクトは、企業の印象やメッセージを強く反映させることができ、ブランディングにおいて大きな役割を果たすようになったため、ユニフォームをブランディング対象として、戦略に基づいてデザインすることの重要性が増しています。
ユニフォームを通したブランディングはオンワードコーポレートデザインにご相談ください
オンワードコーポレートデザインはユニフォーム導入を通したブランディング支援を行っています。
オフィス向けの事務服、現場向けの作業服、接客業向けのサービスユニフォームなどあらゆる業種のオリジナルユニフォームを展開しています。
過去60年間の事業の歴史があり、現在も約1,600社様の企業のユニフォームに採用され、ブランディング支援実績も豊富です。
アウターブランディング・インナーブランディングを目的としたユニフォームをご提案可能
ユニフォームの提案にあたっては、コーポレートブランドやビジュアルアイデンティティの可視化・明確化から行い、貴社のブランド価値に沿った形でデザインコンセプトをご提案します。
アウターブランディングの場合は、外部の顧客や取引先など対して、企業のブランドイメージを強く印象付けるユニフォームデザインをご提案します。
また、インナーブランディングのための社員の一体感やモチベーション向上などを目的としたユニフォームデザインのご提案も可能です。
ブランド価値の整理のためのワークショップも運営・提供可能
社員様がブランド価値やビジュアルアイデンティティの整理といった過程に参加いただきやすいように、ワークショップを実施することも可能です。ワークショップでは、ユニフォームの役割を説明する座学から、意見を引き出すためのグループディスカッションなどを実施します。
ユニフォーム提案だけでなく、社内外への発信もサポート
ユニフォームの導入にとどまらず、その後の社内外への効果的な発信も一貫してサポートしています。
コンセプトの策定やデザインの起案など、ユニフォーム導入のプロジェクトを密着取材した動画の作成や、メディアへのプレスの発信などにより、ユニフォーム刷新をより効果的にアピールするためのサポートもあわせて実施します。
ブランディングに向けた施策を検討されている方は、ぜひご相談ください。
以下の資料では、オリジナルユニフォーム導入を成功させるためのオンワードコーポレートデザインのノウハウを紹介しています。
オリジナルユニフォーム導入を検討している企業様はぜひご覧ください。
DOCUMENTS お役立ち資料

業界や職種を問わず、ユニフォームはさまざまな企業で使用されています。
特に昨今は、大量生産されている既製品を活用するのではなく、企業がアイデンティティを表現する手段として、それぞれがオリジナルデザインのユニフォームを制作し、活用するケースが増えてきています。既製品では表現できない企業の姿勢を示す重要な要素です。
そこで本書では、オリジナルのユニフォームの導入ポイントや流れなど導入に向けて知っておくべき情報をご紹介します。
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