JIS T 8118とは?3つの規定や着用が必要な現場について解説

引火性の物質や精密機械などを扱う現場では、静電気が生じることで重大な事故が発生する危険性があります。そこで、日本産業規格“JIS”によって標準化された規格である、「JIS T 8118」の静電気帯電防止作業服の着用が必要となります。本記事では、JIS T 8118の概要やその特徴、着用が必要な現場について解説します。JIS T 8118が自社にとって必要であるか知りたい方はぜひお読みください。

目次

JIS T 8118とは?

「JIS T 8118」とは、日本産業規格“JIS”によって標準化された「静電気帯電防止作業服」のことです。通常の作業服とは異なり、導電性の繊維が入っているため、電荷量が少なく静電気が発生しにくい特徴があります。

ガソリンスタンドや工場をはじめとした現場では、静電気の帯電によって火災や爆発事故が発生する危険があるため、“帯電防止織物”を使用した作業着の着用が求められています。
静電気帯電防止服の着用などを通して、労働者の安全を守らなければならないことについては、下記の通り労働安全衛生規則によっても規定されています。

労働安全衛生規則 第二百八十六条の二 (静電気帯電防止作業服等)
“ 労働者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴を着用させる等労働者の身体、作業服等に帯電する静電気を除去するための措置を講じなければならない。 ”

この規定を守らないことによる罰則はありませんが、事故が発生した際に着用していないことが発覚すると大きな問題となるため、静電気帯電防止服を着用するなどして労働者の安全を守ることが求められます。
そうした事故の危険を減らすためには、静電気帯電防止作業服の中でもより静電気の発生しにくい「JIS T 8118対応」の製品を選ぶことが重要です。

静電気帯電防止作業服を着用する効果とは?

火災や爆発の危険を防ぐため

摩擦によって物質同士がこすれ合うと、物質間で電子の移動が起こります。このとき、電子を放出した側がプラスに帯電し、電子を受け取った側がマイナスに帯電します。このようにプラスとマイナスの帯電状態にある物体同士が接触・近接すると、静電気が放電されます。
静電気は、放電すると非常に高い電圧と電流が瞬時に発生するため、火花が散ることがあり、それが原因で火災や爆発が発生することがあります。
静電気帯電防止作業服は、こうした静電気の蓄積を防ぎ、放電を制御することで火災や爆発のリスクを低減する効果があります。

機械や電子機器の部品の損傷を防ぐため

現場で作業をしていると、作業服や安全靴などが摩擦によって静電気を帯びることがあります。塵や埃が多い場所では静電気が発生しやすく、機械と接触することで静電気が放出され、機械内部の電子機器や精密部品に損傷を与える可能性があります。また、磁気媒体に影響を与え、データの破損や消失の原因になるケースも少なくありません。

静電気帯電防止作業服であれば、突発的な静電気の放電を抑制できるため、こうしたリスクを抑えることができます。特に電子機器工場や半導体の製造現場では、静電気による損傷は製品の品質や生産性に直接影響するため、着用が必要となります。

JIS T 8118主な特徴とは

前述の通り、「JIS T 8118」は日本産業規格“JIS”によって規定されています。
通常の静電気帯電防止作業服とは様々な点が異なりますが、主に下記のような特徴があります。

生地に導電性繊維を等間隔で混入した織物

生地には導電性繊維を使用し、素材での帯電電荷量が7μC/㎡以下という基準を満たす必要があります。
導電性繊維とは、通常は絶縁体である繊維に電気を通す性質を持たせた特殊な繊維・素材のことです。金属やカーボンブラックなどの導電性の高い物質を合成繊維内に均一に分散して入れたり、繊維表面を金属や導電性物質を含む樹脂で覆ったりした生地が活用されています。
なお、裏地付き服の場合、裏地にも帯電防止生地を使用しなければなりません。
近年ではカーボンを含有した生地や、ステンレス鋼のような金属を繊維化した生地も開発されています。

ファスナー・ボタンなどの金属製付属品は使用しない

ボタンやフック、ファスナーなどの金属製付属品は原則として使用できず、どうしても使用する必要がある場合は、着用時に表面に露出しない設計にしなければなりません。
JIS T 8118適合製品では、ボタンやファスナーなどに金属ではなく樹脂素材が使用されることが一般的です。

裏地生地(ボア)は使用しない

裏地にも帯電防止素材を使わなければならず、裏起毛素材やボアは使用できません。裏起毛は裏毛と呼ばれる生地の裏側を特殊な加工で毛羽立たせたものであり、ボアはポリエステルやアクリルを使った動物の毛のような肌触りの素材ですが、静電気が発生しやすいというのがその理由です。
なお、やむを得ず袖口や襟などに帯電防止生地以外のものを使用する場合には、表面積または裏地の露出する面積の20%以内にしなければならないという規定があります。ポケット布や補強裏地なども同様です。

一点あたりの帯電電荷量が0.6μC以下である

以上の3つの規定に従い、構造や材料によって静電気の帯電電荷量を抑え、製品一点あたりの帯電電荷量が0.6μC以下になっているものでなければなりません。

JIS T 8118適合製品の着用が必要な現場とは

静電気に起因する事故の危険がある作業現場では、以下の理由からJIS T 8118帯電防止服の着用が求められます。ただし、現場によって着用要件は異なるケースがあるため、現場ごとに安全規定を確認し、その内容に沿った対応をとることが必要です。

ガソリンスタンドや化学工場

ガソリンや可燃性ガスなど、引火性の高い物質を扱うガソリンスタンド・化学工場では、静電気の放電が引き金となって可燃性ガスや蒸気に引火する危険があります。引火によって火災や爆発などの事故が発生するリスクが高いために着用することが求められます。

食品・製薬工場

食品工場や製薬工場では、粉塵のような微粒子が生じやすく、特に粉体を扱う工程では静電気による粉塵爆発のリスクがあります。こうした粉塵爆発のリスクを最小化するために着用することが求められます。

電子部品工場

精密な電子部品を取り扱う電子部品工場や半導体製造工場では、静電気の放電により精密電子部品が損傷したり、微細な電子回路やセンサーの誤動作が発生したりするおそれがあります。
JIS T 8118帯電防止服を着用することでこうしたリスクを抑え、製品の品質と信頼性を確保し、不良品の発生を抑制することが可能です。

印刷工場

印刷工場では、印刷機の稼働に伴い材料やインクが帯電し、静電気が発生することで紙の付着や紙送りの不良、インクの飛散や付着ムラなどが発生することがあります。また、可燃性溶剤を使用する場合、静電気の放電により引火し、火災が発生する危険もあるため着用することが求められます。

電力会社や発電所

高電圧機器を取り扱う現場では作業中に帯電する可能性があり、静電気の放電に起因して火災や感電といった事故が発生するリスクがあります。こうした事故を防ぎ、作業員の安全確保と電力の安定供給を維持するため着用することが求められます。

建設現場

建設現場の中でも揮発性物質を使用する現場や、掘削によって粉塵が多く発生する現場では、爆発や火災の危険性があるため着用することが求められます。

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