受付・接客スタッフ向け|ブランド価値を体現する「ユニフォームカラー設計」の考え方

ブランドの世界観をお客様に伝える方法は、商品や店舗空間だけではありません。受付や接客スタッフが身にまとうユニフォームの「カラー」も、ブランド価値を体現する大切な要素です。色は第一印象を左右し、安心感や高級感、親しみやすさといった心理的効果をもたらします。しかし、具体的にどのように色を選び、ユニフォームに落とし込めばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、ユニフォームカラー設計の重要性と、その考え方・実践方法を解説します。

目次

ブランド価値を体現するために「ユニフォームのカラー設計」が重要な理由

顧客が接客シーンでブランドを意識するポイントとは

接客の現場において、顧客がブランドをどのように認識し、どのような印象を抱くかは、商品そのものの魅力だけでなく、店舗空間やスタッフの接遇といった複数の要素の組み合わせによって形成されます。

商品の品質やデザインはもちろん、パッケージングや陳列・演出手法などによっても「ブランドらしさ」は伝わります。また、内装の設えや照明、什器の質感、香りや音楽といった五感に訴える空間設計も、ブランドの世界観を具現化する重要な要素です。さらに、インフォメーションの案内表示やデジタルサイネージなど、情報の提示方法からもブランドの姿勢や価値観が顧客に伝えられます。

そして、スタッフの言葉遣いや所作、さらには着用するユニフォームも、顧客にとってブランド体験の中核を担う存在です。ユニフォームは、接客時にもっとも視覚的に認識される要素の一つであり、店舗を訪れる顧客はもちろん、通行人に対してもブランドイメージを印象づける役割を果たします。

ユニフォームのカラーもブランドイメージを形成する重要な要素の一つ

接客体験は、言語的なコミュニケーションだけでなく、スタッフの服装や振る舞いといった非言語的な情報に大きく左右されます。その中でも、ユニフォームの色は、顧客の第一印象に大きな影響を与える視覚的要素として特に重要です。

第一印象はほんの数秒で決まると言われており、その大半が視覚情報によるものであることが知られています。ユニフォームカラーの選定は、単なるデザインや好みの問題ではなく、ブランドとしてどのような感情や印象を顧客に届けたいかという戦略的視点で考えるべきテーマです。

ユニフォームのカラーによる効果とは

ユニフォームの色やデザインは、見た目の美しさや統一感を生み出すだけでなく、顧客の心理に働きかけ、接客シーン全体の空気感を設計する手段でもあります。色彩は、安心感や親しみ、緊張の緩和、信頼感の醸成といった心理的効果を引き出す力を持っており、それを適切に活用することで、ブランドが目指す顧客体験の質を高めることが可能になります。


効果の例1)新規顧客が多い店舗の場合

明るい什器や照明と調和したホワイトやブルー系のユニフォームは、売り場全体に統一感をもたらし、清潔で透明感のある空間を演出します。

色彩心理の観点では、ホワイトは清潔さや純粋さ、衛生的なイメージを与え、ブルー系は落ち着きや信頼感、冷静さを象徴し、安心感をもたらします。主観的な印象としては、「きちんとしていて清潔」「相談しやすい」という印象を強め、初対面で感じる緊張を和らげる効果があります。


効果の例2)高級感 ・特別感を演出したい場面
落ち着きと重厚感を演出したい場面では、ネイビーやブラックのユニフォームが効果的です。高級感のある什器や落ち着いたトーンの内装と組み合わせることで、空間全体に統一感が生まれます。

色彩心理の観点では、ネイビーは信頼や安定感を、ブラックは高級感や権威を象徴する色とされます。こうした色を取り入れることで、顧客は「特別に扱われている」「特別な空間にいる」という感覚を抱きやすくなり、購買意欲や満足度を高められます。


効果の例3)親しみやすさが求められる日常的な売場に

ベージュやアイボリーのユニフォームは、親しみやすい雰囲気を演出したい場合に最適です。カジュアルな什器やポップのある空間に自然となじみ、売り場全体に温かく柔らかな印象を与えます。

ベージュが持つ「落ち着き」や、アイボリーが持つ「柔らかさ」が、顧客に「声をかけやすい」「リラックスできる」という安心感を与えます。これにより、顧客は日常の買い物をより快適に感じることができるでしょう。

以上からわかるように、ユニフォームのカラーは単なる見た目の問題ではなく、接客シーンそのものを演出し、ブランドイメージを体感させる力を持っており、色の心理的効果を戦略的に活用することが、お客様の心に残る心地よい接客体験の提供へとつながるのです。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Color_psychology

ユニフォームカラー設計の方法

ブランドカラー・コーポレートカラーの決め方

ユニフォームのカラーを設計する際、ありがちな失敗は「なんとなく似合いそう」といった感覚的な判断に頼ってしまうことです。しかし、企業のユニフォームは単なる服ではなく 、ブランドを視覚的に体現し、顧客との接点でブランド体験を支える重要なツールです。その色使いひとつで、印象は大きく変わります。
そのため、カラー設計の出発点に置くべきは、「ブランドの世界観をどう色で表現するか」「接客シーンでどんな顧客体験を届けたいか」という2つの観点です。どちらも企業が届けたい価値を視覚的に翻訳するための軸であり、感覚ではなく、戦略的に検討されるべき領域です。

さらに、これらの観点を体系的に整理し、ユニフォームデザインに落とし込むには、「ブランドの世界観とカラー」「空間との調和」「接客シーン別の印象」という3つの切り口で順を追って考えることが重要 です。

ブランドの世界観とカラーの関係性を明確にする

ユニフォームの色は、企業やブランドが大切にしている価値観やイメージを表すものです。だからこそ、その色は「ブランドらしさ」をきちんと表現できている必要があります。色を選ぶ前に、まずはブランドの世界観とカラーとの関係をしっかり整理することが重要です。


<目的>
ブランドの価値や世界観を整理し、それを色彩心理や視覚的効果に基づいてカラーに落とし込み、顧客に伝わる表現を検討すること


<設計方法の例>
最初に行うべきは、ブランドが顧客に対してどのような価値を届けたいのかを明文化することです。これは経営理念やブランドステートメントに基づく抽象的なキーワードを洗い出す作業です。次に、それらの言語化された価値を「色」に変換する作業に進みます。ここで活用するのが色彩心理学です。色が人に与える印象や感情的な影響を根拠として、ブランドメッセージを視覚的に伝える色を選定します。

・高級感を表現するなら、光の吸収率が高く重みを感じさせるブラック、深みと知性を感じさせるネイビー、自然の品格や格式を表すディープグリーンが有効です。これらは「重厚感」や「信頼」を印象づけます。
・透明感・清潔感を伝えたい場合は、光を反射し明るさを強調できるホワイトアイボリーが定番。そこに少し色味を足したペールブルーは、冷静さや誠実さといった安心感もプラスされます。
・親しみやすさ柔らかさを印象づけたい場合は、肌になじみやすく落ち着いたベージュや、温かみとやさしさを感じさせるアイボリー といった中間色が効果的です。


<ブランドの世界観をカラーに落とし込んだ際の効果例>
高級感を重視しネイビーを基調としたユニフォームを導入した結果、顧客から「上質で信頼感がある」という声が増え、VIP顧客のリピート率が向上。
清潔感を打ち出すためにホワイトを採用した結果、初来店客から「相談しやすい」「安心感がある」というフィードバックが寄せられ、カウンセリングサービスの利用率が改善。

空間との調和を検討する

接客の印象は、店舗の内装や照明、ユニフォームなど、空間を構成するさまざまな要素の組み合わせで決まります。ユニフォームもその一部として、店舗全体の雰囲気と調和していることが大切です。そのため、ユニフォームは単体で考えるのではなく、空間全体とのバランスを踏まえて設計する必要があります。


<目的>
ユニフォーム単体ではなく、内装・什器・照明など周辺のデザインとの調和を考慮し、空間全体としてブランドの世界観を一貫して表現することで、ブランディング効果を最大化する。


<設計方法の例>
まずは店舗で使われている基調色の棚卸をし、壁面、床材、什器、照明などで繰り返し使用されているカラーや質感を整理します。
続いて、それらの色のトーン(明度や彩度)を分析し、ユニフォームの色味とどの程度の差異・近似性があるかを確認します。調和とは「同じ色に揃える」ことではなく、「違和感なく存在させる」ことです。場合によっては、空間とまったく同系色でまとめるよりも、ややコントラストを持たせた方がスタッフの視認性が高まり、接客の効率が上がることもあります。

ナチュラルな木目調が多用された空間では、ベージュ〜ブラウン系のユニフォームを採用し、自然な一体感を演出。
白を基調としたショールームでは、中間トーンのグレーを取り入れることで、清潔感と視認性のバランスを確保。


<空間との調和を考慮したことによる効果の例>
木目調什器が多い店舗で、ベージュとブラウンを基調にしたユニフォームを導入した結果、自然な調和が生まれ「落ち着く雰囲気で商品が選びやすい」という顧客コメントが増加。
白基調のショールームに対し、スタッフにグレー系のユニフォームを着用させることで、清潔感を維持しつつスタッフの視認性を確保し、案内対応のスムーズさが改善。

シーン別の印象を設計する

お客様が店舗を訪れるときの気持ちや、受ける接客の内容によって、ふさわしいユニフォームの印象も変わってきます。たとえば、初めて来店する人と常連のお客様では求める安心感が異なります。こうしたシーンごとの違いに合わせて、ユニフォームの色を工夫し、最適な印象を届けることが求められます。


<目的>
顧客が接客を受けるシーンごとに最適なカラーを設計することで、意図しない印象や心理的ギャップを避け、印象を調整する。


<設計方法の例>
ユニフォームは、単に「店舗の印象」ではなく、その場にいる顧客の心理状態に働きかけるツールでもあります。だからこそ、設計においては「誰に」「どんな気持ちで来店し」「どのような接客を受けるか」という一連のシナリオを具体的に想定する必要があります。

まず、顧客の心理状態を細かく分解します。
• 初来店の顧客 → 不安、緊張、疑念
• 常連顧客 → 安心、期待、親しみ
• 高額商品を検討中の顧客 → 高揚感、慎重、特別扱いへの期待


次に、接客の内容ごとに空気感や距離感を設計します。
• カウンセリング:会話が中心のため、柔らかさ・受容性が必要
• 会計対応:信頼感・スムーズさを印象づけるトーンが重要
• 高単価商品の案内:格式・安心感・特別感を重視


その上で、時間帯や役割に応じてトーンを微調整します。たとえば、昼間は明るい色で軽やかに、夜は少し落ち着いた色調で空間との親和性を高める、といった調整も有効です。役割ごとのバリエーションでは、受付スタッフは清潔感重視の淡色系、販売スタッフは行動力・信頼感を意識した濃色系にすることで、視覚的に役割を補完できます。


<シーン別で印象を設計したことによる効果の例>
・カジュアルな化粧品カウンターではペールブルーを採用し、「相談しやすい」「柔らかい印象」という顧客コメントが増え、カウンセリング成約率がアップ。
・高額宝飾品の接客では、ディープグリーンをアクセントにしたネイビー基調のユニフォームを導入し、「落ち着いて選べる」「信頼感がある」と評価され、平均購買単価が向上。


上記で紹介した「ブランドの世界観との整合」「空間との調和」「接客シーン別の印象」の3つは、単体の要素として最適化するだけでは不十分で、これらを互いに連動させて設計することが重要です。ブランドが持つ世界観をユニフォームの色で表現し、それが空間全体のデザインと一体となって伝わり、さらに接客シーンごとの顧客心理にも自然にフィットすることでユニフォームは初めてブランド価値を最大限に引き出す強力なツールとなります。

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オリジナルユニフォームの導入推進ガイド
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